7.境川と環境のこと

(1)境川の様子

 境川はみよし市の最北端にある長田池を水源に、市内を南へと流れ、その後は文字通り

尾張と三河の国境の川として市境を通って、衣浦港へと注ぐ全長30数㌔の2級河川です。 

私が毎日のように観察している長田池から東名までを、いくつかに分けて紹介します。

 

1)長田池  2)上流から南を見る(2014年頃) 3)上流   4)丘小の西

1)長田池

  境川の水源・長田池は南(手前)に拡がる水田の溜池として今も機能していますが

  水の入れ替えが少ないので池の水はよどみ勝ちです。

2)上流から南を見る

  2015年頃からイノシシの被害が増大、休耕田の方が多くなり、この景観は消えました。

  田んぼが続く向うにはあおば地区の家並みが見え、名鉄電車が走っています

3)上流…北方向(上流)を見たところ

  長田池から名鉄豊田線までは川幅が狭く、コンクリートの水路状態ですが

  静かな環境で生活排水の流入も少なく、魚類は多く見かけます

4)丘小の西

  この辺りは写真のように川内一面にヨシが生い茂っています 名鉄線から南は

  左右から生活汚水が流れ込みますが、ヨシ類が茂っていてヨシは水を浄化して

  くれるし、魚や鳥たちの安住の場・子育ての場もつくってくれています

  

  *ヨシの水質浄化力(広島市保光義文博士論文…中国新聞2007.7)

   ヨシは水質汚濁の原因となる窒素やリンを根から吸収する浄化作用をもち

   河川面積の7割に繁殖すればCODが1キロごとに半減する

 

 

 5)昭和橋付近  6)寺田橋付近(2013年頃) 7)東名の北  8)小石川合流

6)寺田橋付近…昭和橋(ローソン東)から下流は三面張りのコンクリートが露出して

  いるところが多い 水の汚れは進み、小魚は非常に少なくなっていましたが

  2001年頃からはまた増えています 

  写真のように寺田橋下のヨシ林は見事でしたが、2016年頃から徹底的に除草されて

  写真の景観は消えてしまい残念です

 

  *三面張り…境川は上写真で見る通り、堤防上も川内も草木が生い茂っていますが

   両側面も川底もコンクリートで覆われた三面張りの所が多い。ただ、川底だけは

   コンクリート張らず粘土の底が見えているところもあります

 

7)東名の北

  向こうの橋の更に奥には東名高速が見えています 堤防には以前からクズが生えて

  いますが、最近はブタクサや特定外来生物のアレチウリが猛繁殖してきました

8)小石川合流

  境川は右から左へ流れ、上から流れ込むのは小石川 境川の川幅はここから左は 

  倍ほどにも拡がります なお、小石川の水は境川に比べてキレイです

 

   *多自然型川づくり…治水上の安全性は確保しつつ、生物の良好な生息環境を

    できるだけ改変しない、自然環境に配慮した河川工事の方法

    (従来の「近自然工法」は言葉が分かり難いということで変更された)

 

 

(2)境川の汚れ

1)汚れの例

 ①汚れの中で生きる ②流れ込む汚れ    ③流れ込む汚れ

 ①汚れの中で生きる

  水量が少なく流れも遅いので汚れは溜り易い、それでも夏には小魚が泳いでいるが

 ②流れ込む汚れ

  名鉄豊田線以南では境川に多くの水路が繋がり、生活排水が流れ込んでいる

 ③流れ込む汚れ

  家庭・事業所などから汚水が雨水路へ捨てられ、境川へ流れ込むことも多い

 

 *ゴミについては右上段の「7-2 ゴミ問題」を参照ください

  

2)汚れの発生源(愛知県の場合)

  ①生活排水 57%  ②産業排水 31%  ③農業など 12%

    *生活排水の内訳 ・台所45% ・し尿33% ・洗濯/風呂22%

    *1家庭(4人家族)の1日の排水量・・・約1000リットル

  

3)汚水路と雨水路(下の絵参照)

  ①汚水路…汚水を浄化場へ運ぶ水路のことで、地中を流れています

       地上に見えいる溝は全て雨水路です

  ②雨水路…道路の脇や家の周りなどにある溝のことで雨水専用水路です

       この水路を流れるものはそのまま川へ流れ込みます

 

 3)排水の例      3)汚水路と雨水路  4)浄化槽の種類    4)浄化槽の注意点

 

4)浄化槽のこと(上の絵参照)

  ①種類 ・合併式浄化槽…家庭の全ての排水を浄化する

      ・単独式浄化槽…トイレの排水のみを浄化する

      *2001.4.1からは新設時は合併式浄化槽のみに規制された

  

  ②注意点・微生物の働きによって汚水を処理する浄化槽は正しい維持管理が必要

      ・法で決められている保守点検・清掃を定期的に行うこと

 

 

(3)川の水を調べる

 1)水生生物による水の判定

 そこにすんでいる水生生物よって、水がきれいか汚いかを判定します。

 下の指標生物Aと指標生物Bを参照ください。

 

           指標生物A     指標生物B

2)河川の環境基準

 生活環境の保全に関する河川の環境基準が6ランクで決められています。

 *最上位ランクの基準値については右上段の「★河川の環境基準」を参照ください。

 

 3)川を評価する調査項目

 川の評価をするときには水の評価だけでは不十分なので、水量・生き物・水辺のこと

 なども含めて総合的に評価をします。

 *調査項目については右上段の「★川を評価する調査項目」を参照ください。

 

4)食品による汚れ

 食品が捨てられた場合の水の汚れは、魚にとっては即、死につながる大問題です。

 食品によって汚れた水を、魚が生きていける水質にするには大量の水が必要です。

 *食品と必要な水の量については右上段の「★魚がすめる水質」を参照ください。

 

 

(4)資料紹介

 ①資料・愛知県の野生生物(レッドデーターブックあいち2009)

          …愛知県環境調査センター編集・発行

 ②資料・外来生物 …愛知県環境部自然環境課発行

 ③HP・環境goo …環境書籍通販、環境ニュース、NPO/NGO紹介

 ④HP・あいちの環境…県環境部のHP、水・地盤環境情報、生き物、浄化槽など

 ⑤HP・あいち環境学習プラザ …県庁内にあり、子供対象の説明

 ⑥HP・全国地球温暖化防止活動推進センター …JCCCA、情報いっぱい

 ⑦HP・スプリンターズ …大気汚染・黄砂の飛来を予測し教えてくれる

 ⑧本・eco検定…東京商工会議所編著、環境全般が簡潔に説明されている(ABC参照)

 

           A環境問題    B生活とエネルギー  C環境に配慮した行動


       環境には誰もが関係しており、誰にも身近に出来ることがある